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自治体人事評価制度の課題と評価者研修2 「人材育成につなげているか?」

NOMA行政情報 No.37 2008年7月1日

人材育成につなげているか?

人事評価制度の最も重要な目的として「人材育成」を掲げる自治体が圧倒的に多いように思います。しかし、「人材育成」を目的にするのであれば、制度設計面においても、評価結果の活用面においても人材育成システムとリンクさせることが必要になります。

(1) 求める職員像を描いてから評価基準を決める

どのような能力・行動をもってよしとするかという考えがなければ、職員を評価することができません。すなわち、求める職員像を具体的に描くことを通じてはじめて評価の基準が作成できます。

自治体には人材育成基本方針があり、その中で「目指す職員像」が描かれています。この「目指す職員像」から具体的なイメージを引き出して、職別、職種別に身に付けるべき能力・行動を整理する作業を行います。そのようにして評価基準を作成すれば、「目指す職員像」を想定した評価が行われるのですから、将来の人づくりにつながります。

(2) 自己啓発意欲の向上に結びつける

人材育成の基本は自己啓発です。本人に自覚や努力する姿勢がないと能力は伸びません。

人事評価では本人に評価結果を伝達するフィードバック面談がありますが、この目的は、結果を伝達することにあるのではなく、本人に気づかせ意欲を引き出す点あります。結果を伝達するだけであれば、自信をなくす人、やる気をなくす人が出てきてしまいます。むしろ、どうすればよいのか、どうやればうまくいくのか、能力開発その他の課題を一緒になって考えることが大切です。

上司が結果を読み上げて、「何か質問はあるか」、「・・・」、「なければ面談は終了、かえっていいよ」といった面談はしていないでしょうか?

(3) OJT(職場内訓練)を強化充実させる

管理監督職の二大役割は、成果をあげること(施策を実現すること)と、部下を育てることです。しかし、仕事のマネジメントには熱心ですが、部下の育成には時間をほとんど使っていない上司がいます。

部下を評価すれば、その長所、短所が明らかになるわけですから、その部下をどう育てるか、具体的な目標と方策をまとめさせ、計画的な指導・訓練を実践することが必要です。どのような能力が十分でないのか、その能力を身につけさせるためには、どんな仕事を与え、どんな指導をしたらよいか、具体的に考え計画し実践する。そしてまた人事評価をして傾向をつかみ、次年度の指導計画を考え実践する、これを繰り返し行うよう評価者に求めることが必要です。

人事評価を重要な契機として、職員一人ひとりをよく見ること、職場で人が育つ組織に変えること、是非実現してもらいたいものです。

(4) 個人を育て活かす人事につなげる

人事評価制度は、人を育てるシステム、人を活用するシステムなどを含めたトータルシステムの一部として設計・運用することが大切です。

経営の視点から見れば、組織のパフォーマンスを高めるために、職員一人ひとりの個性を把握し、人を育て活かす人事を行うことが重要です。すなわち、計画的な能力開発、人事異動への反映、自己啓発支援、自己申告制度の活用、個人のキャリア開発などとの連携を検討し実践する必要があります。

人事評価制度は公正に評価すること自体が目的ではありません。適切な人事を行うためには個人を知らなければなりません。その意味では、人事評価は人事の出発点でもあるのです。