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地域活動やボランティア活動を人事評価に反映すべきか

職員(地方公務員)の地域活動への参加状況や、ボランティア活動の実績等を人事評価に加えるべきか検討している自治体が多いようです。首長から指示を受けて評価項目に加えた団体もあります。しかし評価に組み入れる前に、人事評価の対象範囲は如何にあるべきか考え方を整理することをお勧めします。

まず、人事評価制度は、職務上の事実(公務員としての行動事実)に限って評価する仕組みであることを確認する必要があります。人事評価とは、あくまでも職務上の業績、能力や行動を評価するものであって、職務以外のことは評価しません。一般に「公私混同の排除」と呼ばれる原則があるのです。

この考え方のもとでは、一住民としての地域活動への参加やその他のボランティア活動は「職務」ではありませんので、 人事評価には反映しないことになります。業務命令で行う場合(派遣命令を受けて被災地の応援をするなど)はもちろん「職務」ですから評価の対象になりますが、個人で行う地域貢献やボランティア活動はプライベートの領域に属することですので評価しません。

これは、ボランティア活動に限らず、例えば、「職員サークルの事務を手伝ったことがない」、「職場の忘年会に参加しない」、「庁内不倫をしている」などといった事実があったとしても人事評価には反映しません。

評価できるとすれば、例えば、「彼はサークル活動の事務を手伝わないだけでなく、職務遂行の面でも細かな事務をきちんと処理しない」とか、「庁内不倫の影響もあって、彼は同僚との職務の連携がうまくいかなくなった」など、 職務上の事実が確認できたときになります。

考えてみると、人事評価は職員の給与にも影響を与える仕組みです。労働の対価として受け取るべき給与が、労働以外の私的な事実で左右されることは「おかしい」と思いませんか?。あくまでも、与えられた職務における”働きぶ り”で評価を決めるべきだと考えます。

また、そもそもボランティアをする方は、評価されたいと思って活動しているのではありません。もし、評価されたいからボランティア活動をするとなれば、それは本来のボランティアとは言えないと思います。

ただし、ここまでは人事評価制度に限っての話です。首長が「職員の地域活動等への参加、ボランティア活動の事実も評価したい」と思うからには、何らかの理由があるはずです。そこをしっかりつかんで対策を講じる必要がありま す。

例えば、民間企業でも、社会的貢献を行った社員を表彰したり、金一封(援助金)を支給したり、ボランティア休暇を付与しているところがあります。自治体でも地域貢献を奨励するために、職員表彰の対象としたり褒賞金を支給するなど、検討してはいかがでしょうか。

また、管理監督職の任用に際して、地域へ貢献する使命感を持った人材を選抜する意図から、地域貢献への取組み姿勢を昇任要件の一つに加える方法もあるでしょう。管理監督職の任用は人事評価の結果のみで決めるのではなく、リ ーダーとしての適性を判断することが重要になりますが、自治体職員の場合には、地域へ貢献する姿勢も重要な要件になるのではないでしょうか。

今後、自治体では、地域活動への参加等を人事評価に反映する考え方が主流になるかもしれません。最近はポピュリズム的傾向と言っていいと思いますが、一つの方向に皆が動いてしまう傾向が強いように思います。ゆえに、原理原則を踏まえて、どうあるべきかという考え方をしっかりもつことが大切だと思います。

もしも「人事評価に反映せよ」ということになれば、ここに指摘したこと以外にも検討すべきことは多々あります。 私的な領域まで評価が及ぶことにもなりますので課題を洗い出し十分な検討をするようにしていただきたいと思います。