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昇任昇格制度の運用と等級別定数の関連性を考えよう

昇任昇格制度の運用には、大きく分けて入学方式と卒業方式があります。実はこの2つの方式と等級別定数(あるいは職別定数)は密接に関連しています。

1  卒業方式と入学方式

卒業方式とは、現在の職又は等級に要求される職能のレベルを十分満たしたことを判定し、昇任昇格させる方法です。

例えば公立の中学校では、小学校の課程を終了(卒業)すれば自動的に中学校に入ることができます。昇任昇格制度に戻って述べると、現等級又は職に求められるレベルを満たしたので、次の段階(上位の等級又は職)に格付けするという考え方になります。この場合、現在の等級又は職に求められる能力を十分満たしているか判定する必要がありますので、通常は人事評価の結果を重視することになります。

一方、入学方式とは、上位の職又は等級を担うだけの職能や適性があるか判定して昇任昇格させる方法です。

求められる役割や職務の特性が大きく異なる職への任用、すなわち、管理監督職への昇任や専門職への任用等については、その重責を担うだけの力量がないと軽々に任用するわけにはいきません。例えば、自動車を運転するには技能と学科の試験に合格する必要があります。同様に考えていただくと分かりやすいと思います。

この入学方式では、これから任用する職を担う能力や適性があるかが重視されます。そのため、通常は人事評価のみで昇任昇格を判断することはできません。人事評価は現行の職務において十分な能力があるかを見ているのであって、たとえ人事評価の結果が良くてもこれから任用される職を担うだけの力量があるかどうかは分からないからです。

そこで、筆記試験や面接試験を課したり、プレゼンテーションをさせたりして、適任性や人物、やる気等を見て人材を選抜します。また、ある程度の期間、上位職を経験させた上で昇任昇格を判定することもあります。

2 定員の考え方

卒業方式では、定員なしが建前になります。卒業方式では、現在の職又は等級の能力レベルを満たせば昇格となるので、定員の枠は設けません。定員の枠を作ってしまうと能力があっても昇格できない人が出てくるため、卒業方式の原則が崩壊してしまうからです。

一方、管理監督職への昇任や専門職への任用は、組織体制上の要請があって必要人数が決まることから、定員を設けることができます。管理監督職や特定の専門職の場合、適任者がたくさんいるからといって、皆を任用するといった運用はしません。いわゆる「ポスト」への任用を基本に、等級格付けを行っていくことが原則です(一瞬でも昇任が先で昇格が後になる)。

そうなると、管理監督職になる直前の職(監督職予備群)に人数が滞留する現象が起きやすくなりますが、これは、管理監督職等への任用を厳正に行っている結果であると言い換えることもできます。

(注) 公務員の昇任と昇格は分離しておらず、「職」と「級」は結びついて運用されます。いわゆる「職能資格制度」ではありません。

3 一般職員にも等級別定数は必要か?

最近、自治体において等級別定数を定める動きがあるようです。

公務員制度改革では「等級」とは「能力等級」ですから、能力に応じて等級を決めるという原則になります。しかし仮に、1級、2級、3級といった等級別に定数を定めると、定数枠が固定されるため、能力があっても等級が上がらない職員がでてくる可能性があります。または、昇任昇格を行なう見込みをもって等級別定数を毎年のように改正する、といった現状追認型の運用をすることになるかもしれません。

このようなことから、主事補、主事、主任等の一般職員についても等級別定数が必要かどうか、十分検討してください。

一方、管理監督職や特定の専門職については、職への任用があって昇級が決まりますから、等級別定数を設定しやすいと思います。ただし、等級は任用によって決まることになりますので、能力に応じて等級を決める「能力等級」という考え方よりも、任用した職務や役割に応じた等級に格付けするといった運用(「職務・役割等級制度」に近い運用)になります。