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管理職になりたくない自治体職員たち

 最近、課長や係長になりたくない自治体職員が増えているようだ。

 自治体の多くは財政状況が厳しく、管理監督職の仕事の量は確実に増えている。住民が納得する成果をあげなければならず、求められるマネジメントのレベルも上がった。さらに担当施策で何か事があれば矢面にさらされ、部下に問題があれば責任を取らされる。精神的なストレスも大きい。にもかかわらず、課長や係長になっても給与が大幅に増えるわけではない。

 この気持ち、わからないでもない。でも本当に課長や係長にならなくてもいいのだろうか。

 確かに、今の自治体の給与制度では、係長には管理職手当がなく給与は一般職員とほとんど同じ。また課長になっても大幅に給与が増える構造にはなっていない。残念ながら昇進(昇任)メリットはほとんどないという実態がある。

 しかし、確かに給与上のメリットは魅力がないかもしれないが、管理監督職になれば、自分のしたいことが実現できる可能性は高まるはずだ。その点には魅力を感じないのだろうか。

 大ヒットドラマ「踊る!大捜査線」。主人公は青島刑事。湾岸署の若手刑事だが泥臭い仕事もいとわず見事に事件を解決するが昇進意欲は低い。一方、室井管理官。彼は警視庁にいて現実と理想との狭間にゆれながらも昇進を目指す。自分の理想を実現するために強く生きようとする。どちらもすばらしい職業人の生き方だと思う。

 でも、昇進を望まない職員は青島刑事のように行動したいと思っているだろうか。
 実はそうではないように思うのだ。ある地方公務員が先輩からこう言われたそうだ。「給与に不満があるなら仕事を給与にあわせればよい。その方が精神的な安定感が得られるぞ。」と。彼はそれに納得してしまったらしい。

 給与が安いと思ったら、給与相応の仕事をすればよい、という考え方だ。でも、仕事を給与に合わせていたら、まずその人は成長しないだろう。面倒なことは回避するようになる。そんなことを続けていたら、いつの間にか「事なかれ主義」の価値の低い人材になってしまう。

 また、給与を上げれば人は働くかというと、そう単純ではない。給与は働く不満要因にはなりやすいが、働く刺激要因にはなりにくい。

 課長や係長になりたくない職員が増えているという現実は、理想やビジョンを語り合う機会の少なさも影響しているだろう。また今の管理監督職に自分の理想とする人がいないからなのかもしれない。それはたんへんに不幸なことである。

 しかし、公務員となったからには、使命感をもって仕事をしてもらわねばならない。それだけやりがいのある仕事なのだ。管理職になることは、その使命を果たす機会を手にすることでもある。管理職として先頭に立って指揮し、自分の考えを持って必要な政策を展開していくという仕事の喜びを捨ててしまって、現在の仕事の遂行で満足だと考えているとしたら、それは本人にとっても自治体にとってもたいへん不幸なことだろう。

 給与制度を変えなければならない。私は役割・責任に応じたメリハリのある給与制度に変える必要があると考えている。しかしそれだけでなく、使命感、やりがい感の喪失に対して腰を据えた改善方策を実行しなくてはならない。民間企業だけでなく自治体の職員の意識も変わってきているのだ。