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目標設定表現のチェックリスト“CSK4G”

設定した目標を吟味するときには、次の“CSK4G”でチェックしてみてください。

C チャレンジ性
 目標にはチャレンジ性が必要です。今までどおりのやり方で普通に遂行していけば必然的にたどり着けるのであれば、「目標による管理」で設定する目標としてふさわしくありません。

 「目標による管理」は、よりよい成果を挙げることによって、組織の成長(自治体であれば政策の実現)と個人の成長を実現していく仕組みです。これまでどおりのことをするのでは、以前と変わらないのですから仕事の面でも能力の面でも前進がないことになってしまいます。新規の事業に取り組む、サービスを充実させる、重要な問題を解決する、より効率的に処理するなど、チャレンジ性のある目標にすることが大切です。

 なお、現状を維持する目標であっても、十分にチャレンジ性を満たすこともあります。例えば、地球温暖化の原因である二酸化炭素の排出量は今後何としても抑制しなればなりませんが、仮に、その排出量を現状のレベルに維持する目標を立てたとすれば、その達成がいかに大変なことか容易に想像できます。維持目標であってもチャレンジ性を満たすことがあるのです。

S 責任範囲
 自分の役割責任の範囲で目標を設定しているか必ずチェックしてください。仮に、あなたが係長で、部下のAさんが次の目標を立てたら、あなたはこの目標を認めますか?

   Aさんの目標・・・「○○条例案を議会に提出する。」

 この目標は、Aさんの権限を越えています。仮にAさんがこの条例にかかわる業務を担当していたとしても、彼の役割は、条例の改正案をとりまとめ上司の承認を得るところまでだと考えられます。その後の議会への提出は組織の上層部が行うべきことではないでしょうか。

 もしAさんの書いた目標をそのまま認めてしまうと、彼が本来の自分の役割責任を果たした後(上司に提出した後)、上層部が何らかの事情により条例を議会に提出できなかったとしたら、彼の目標は未達成になってしまいます。「上司のせいで達成できなかった。」ということになりかねません。そこで、次のように自分の役割責任を踏まえて目標を設定する必要があります。

   Aさんの目標・・・「○○条例の改定案をとりまとめ、係長へ提出し承認を得る。」

K 期限
 目標には必ず達成期限があります。目標とは“いつまでに何を実現するか”を表現するものですから、達成期限は必ず設定する必要があります。次のような表現を参考にしてください。

 年度内に達成する目標:「年度末」、「3月末」
 期の途中までに達成する目標:「○月○日」、「○月末」
 一定期間内に達成する目標:「○月○日~○月○日」
 毎月の件数や平均値を達成する目標:「毎月」、「毎月平均」
 常に一定の水準を保つ目標:「通年」

G 具体性
 どのような状態にしたら“達成”とするのか具体的に記入します。
 目標には、次のように定量目標と定性目標があります。

① 定量目標
 数量で表すことが出来る目標です。売上高、出荷数量、収納率、生産量、整備率など、実数や比率などで表現します。定量目標は数量で表現するため誤解が生じにくく到達点は明確になります。ただし、その数量の捉え方、計算の仕方などに曖昧性がないか注意してください。

② 定性目標
 数量で表すことの出来ない目標です。定量目標は数値ではありませんので、どこまで実現するか、どんな状態にしたら達成とするのか、到達点に誤解が生じないよう具体的に表現する必要があります。

 次のような方向性を示す言葉を使ってしまうと、どこまで実現するのか到達点が不明確になります。職員の多くがこのような表現をしているようでしたら一度研修を受けることをお勧めします。

<不適切な表現例>
 「~を推進する」、「~を目指す」、「~を削減する」、「~を充実する」、「~を検討する」
 「~を強化する」、「~に努める」、「~に貢献する」、「~を管理する」、「~を徹底する」等

G 実現性(コントロール性)
 目標には達成の可能性があることが必要です。実現の可能性が極めて低い目標はチャレンジする意欲を失ってしまいます。もし可能性がかなり低いのであれば、上司が支援して実現できる環境を整えたり、成功までの道筋を示したりして、果敢にチャレンジする状況をつくる必要があります。

 また、自分たちでコントロールできない目標もふさわしくありません。例えば、自分たちの影響力はごくわずかであって、外的要因によってほとんど結果が決まってしまう目標です。“のれんに腕押し”のような目標では、これまたやる気を失いかねません。気象や景気などはその代表例だと言えるでしょう。コントロールできる目標に切り替えてください。

G 実証性
 目標は達成したかどうか判定できるものでなければなりません。達成の実証ができなければ達成の判定も出来ないのですから、せっかくがんばってあげた成果も認められないことになってしまいます。

 例えば、直接目に見えないもの(「職員の意識を高める。」、「住民の満足度を高める。」など)は達成の判定が出来ません。意識調査の結果など目に見える目標に変換する必要があります。また自分でいろいろ考え工夫したことも、報告書や提案書、改善したシステムなどの成果物がないと、やったことが証明できません。

 また、達成度の自己評価についてもそのまま信用するのではなく確認行為が必要です。虚偽の報告などにも気をつけねばなりません。しばらく前に、学校の“いじめ”の報告が実態とかけ離れていたことが問題になりましたが、そのような可能性がある場合には実態をチェックするシステムを機能させる必要があります。

G 合致性(上位方針)
 最後の「合致性」とは、上位方針、上位目標との整合性です。目標は自分の好き勝手に立てればよいというものではありません。組織人である限り、自分の担当業務にかかわる上位方針があれば、その方針に従うことが求められますし、上位の目標があれば、その実現に貢献するように目標を立てなければなりません。

 また、目標管理を始めると、当初は上司から言われたことしか目標を設定しない職員が少なからず存在します。目標は自主設定が原則です。自ら担当業務について考え、上から言われたこと以外にも目標を設定するようにしてください。