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「業績」とは何か、考えてから評価制度を設計していますか?

 業績評価制度を設計するには、まず最初に評価の対象である「業績」とはなにか検討しておくことが大切です。しかし、この「業績」とは何かについて十分に検討しないままに評価制度を設計している団体が多いようです。そこでまず、「業績」とその類似用語である「成績」や「実績」について、それぞれの違いを確認しておきます。

 「成績」とは、”出来のよさ”です。学業では「成績」という言葉をよく使いますが、これは勉強の出来、テストの出来を指します。これを仕事に当てはめると、「成績」とは、”仕事の出来のよさ”ということになります。

 次に、「業績」とは”仕事の出来のよさ”(成績)に、その仕事の大きさを乗じたものです。数式で表すなら次のようになります

 業績=仕事の出来のよさ×その仕事の大きさ

 「仕事の大きさ」を測る尺度には、重要度、難易度、貢献度などがあります。「仕事の出来のよさ」といっても、大変な仕事をして”出来た”場合と、簡単な仕事をして”出来た”では、組織から見た価値(仕事の大きさ)が異なります。この点を考慮したものが「業績」です。

 一方、「実績」という用語は、過去の測定された「成績」や「業績」を指すときに使われることが多いようです。「業績」では「将来の業績を予測する」といった使い方ができますが、「業績」のかわりに「実績」を使って、「将来の実績を予測する」とは言いません。「実績」とは実現した「成績」、または実現した「業績」のことと考えてよいでしょう。

 さて、「業績」が「仕事の出来のよさ」(成績)に、その「仕事の大きさ」を乗じたものであるとすると、次に問題となるのは、業績評価において対象とすべき「仕事」とは何かです。「担当業務のことではないのか」という声が聞こえてきそうですが、そのように考えてよいでしょうか。

 業績評価の対象となる「仕事」には次の3つの考え方があります。

 まず、目標に限定する考え方です。通常、仕事を担当する者は、何を実現しなければならないか考え、目標を設定してから仕事に取り組みます。したがって、「仕事の出来のよさ」とは、目標の実現状況(達成度等)を指すという考え方です。
 このような考え方に立てば、目標を設定させてその実現状況を評価する必要がありますから、「目標による管理」を活用して評価制度を運用することになるでしょう。

 次に、業績評価の対象となる「仕事」とは担当業務全体である、という考え方があります。この考え方を採用するなら担当する業務全体の業績を評価することになります。自治体では1人の受け持つ業務の種類が多いために、3~4つの目標を設定してもすべての担当業務をカバーできないといった問題が生じます。そこで、目標の実現状況のみで評価するのではなく、担当業務全体の業績を評価すべきであるという考え方が出てきています。

 さらに、業績評価の対象となる「仕事」とは、役割の発揮であるという考え方もあります。職員は担当業務を遂行するだけでなく、組織の一員としてさまざまな役割を担っています。管理監督職であれば、部下の育成、組織の活性化、他部門との連携強化など、また一般職員でも、後輩の面倒を見ることや、ノウハウの蓄積、チームワークの向上などの成果が期待されます。

 このように、「業績」とはその本来の意味をどう捉えるかということと、対象となる「仕事」とは何か、すなわち評価する範囲をどうするかという二つの側面があることに注意する必要があります。

自治体では、「目標による管理」を運用して業績評価に結び付ける方法を採用するところが多いようですが、目標の実現状況のみで評価する方法で本当によいのかどうか。目標を設定していない業務領域はどうするか、管理職と一般職員は同じ評価の仕方でよいのかなど、十分に検討してください。